ああー、狂おしくサイレント映画が観たい!

最近の映画ってちょっとうるさすぎやしませんか? 野暮でヘボなどんくさ役者を使い、映像でうまく補正修正できないもんだから、音楽で、または効果音で観客を思いっきりおどかし、ごまかしてやろうなどと、三流映画人どもの考えていることはその魂胆が100mほど先から見え見えで思いっきり匂うわ。そんなときは思い切って昔に立ち返りサイレントを観るにかぎる! でも問題は、このサイレント映画というものには音がない(あたりまえ)。間違ってポテトチップなど食べながら観ようものなら周りからブーイングの嵐が吹き荒れ、さらにうるさくなる(んなわけない)。ときどき弁士やピアノ演奏などをつけて上映することもあるみたいだけど、わたしに言わせりゃあんなの邪道だ!音がないからこそサイレントなんだ。

音がないかわりにあるのはすばらしい役者たち。
←こんなおもしろい顔したおじさんも出てくるし、ちょっと動作がいちいち舞台役者っぽいけど、彼らは映画の大道芸人だと思えばフォトジェニックさも一段とハクがつくというものさ。目といわず鼻といわず、とにかく彼らの顔の表情すべてがすばらしい。
難点は、これらのすばらしい映画を自宅の小さなTV画面では充分に堪能できないところ。心地よいクッションに寄りかかり、お風呂あがりにお茶でも飲みながらゆったり観ようものなら、ずっしり寝込んでしまうこと間違いなし。それならば大画面で観ましょうね♪ということで、水道橋くんだりまで勇んで行ってきました。

東京・水道橋にある「アテネフランセ文化センター」は、ときとしてコアなプログラムを組むことで映画ファンの間では要チェックの場所となっている。今回ここでおこわれた特集のプログラムを手にしたとき一番最初に気になったのが、『
ピーター・パン』という映画。というか、ピーター・パンってディズニーのアニメだとばかり思っていた真バカなわたし、これにはちゃんとしたコント(お話)があって、ましてやサイレント映画なんぞで存在しているだなんてし〜らなかった!

というわけでこれだけはどうしても観たい。そして人間の記憶というのもはいい加減なもんで、当然知っているはずのピーター・パンのお話も、今回改めて観て、そうか、こんな話だったのかと大発見。ここでお話の説明をする暇はないので飛ばしますが、この物語のなかに一匹の犬が出てくる。そしてこの犬、本物ではなくて、着ぐるみを着た人間が犬の役をしているのだ。犬が人間っぽいのか、人間が犬っぽいのかよくわからない。でもこの映画を観るかぎり、人間と犬は太古の昔から仲良しだったといわれている意味がよくわかる。とにかくこの犬の動作がいちいちおもしろい。人間らしい動作をしても彼らはやっぱり犬にかわりはない。犬がベッドメイキングしてなにが悪い。なんだかよくわからないけど、この人らしい犬、あまりに可愛すぎて瓶詰めにして差し上げたいぐらいだ。

このサイレント映画の特集上映はまた6月からもあるらしい。わたしは時間のあるかぎり足を運び、そしてこの秋に開催される、来たる「カール・ドライヤー・レトロスペクティブ」に備えようっと。


『寵姫ズムルン』のワンシーンです。


観た作品

映画の授業 サイレント映画大全(第壱巻)鳥羽幸信コレクションより
2003年3月13日〜27日 東京・水道橋「アテネフランセ文化センター」
ピーター・パン
Peter Pan/1924年/103分/監督ハーバート・ブレノン/出演ベティ・ブロンスン、エスター・ラルストン

寵姫ズムルン
Sumurun/1920年/53分/監督エルンスト・ルビッチェ/出演ポーラ・ネグリ、エルンスト・ルビッチェ


カール・ドライヤー・レトロスペクティブ

2003年10月11日〜13日 東京有楽町朝日ホール
2003年10月27日〜11月9日 東京国立近代美術館フィルムセンター
2003年11月15日〜 東京ユーロスペースほか全国巡回
「裁判長」「サタンの書の数頁」「牧師の未亡人」「不運な人たち」「裁かるるジャンヌ」「吸血鬼」「ゲアトルーズ」ほか、カール・ドライヤー全作品上映予定。感想はこちら!



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