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| さて、5日目の最終日ともなるとだんだん飽きてくる。 飽きるというのは、映画自体に飽きるのではなく、「席をとるために並んで待つ」&「映画を観る」という、ただひたすら受け身の行為に飽きてしまうのだ。 だからこの日は、まだ配給がついていない最初の2作品だけ見て帰ろうと思ったのだけれど、見終わったあとさほど体も疲れていないし、このまま帰るのは惜しくなったので、ちょっとだけ休憩して4作目の『バティニョールおじさん』を鑑賞。これが今年のわたしのクロージング作品となりました。 シネフィルというのはこうやって観る映画が増えていくのだな。 ちなみに、3作目の『セックス・イズ・コメディ』は、昨年『ロマンスX』が公開されて話題になったカトリーヌ・ブレイヤの作品。でも個人的には彼女の作品はあまり好きではないのでパス。この作品の話題性のためきっと配給もつくだろうから、他の方がご覧になったあとの感想を読んでから観ることにしよう。 そしてクロージングを飾ったのは『レディース&ジェントルマン』。こちらは今年のカンヌでもクロージングに上映された作品で、さすがクロージングに選ばれるだけあってそれはそれは眩いほどの豪華キャスト!・・・なんだけど、なんか腑に落ちないところがあってこれもパス。『バティニョールおじさん』が素晴らしい映画だったので、この余韻をもって横浜の街をつらつら歩いて帰りました。
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| ミシュカ Mischka ['02]★★ |
監督・脚本/ジャン=フランソワ・ステヴナン製作/ジル=マリー・ティネ 出演/ジャン=ポール・ルション、ジャン=フランソワ・ステヴナン、サロメ・ステヴナン、ロナ・ハートナー 夏のヴァカンスのはじめ、家族といっしょに来たはずの老人が、ひとり路上に置き去りにされてしまう。ふらふらとあてどもなく歩く姿を見ていると、これはフランス版楢山節考かと思ったがちと違うらしい。この捨てられた老人が、家に帰るともなく旅立つ。そこで出会うのが、老人ホームの看護人やら、弟を連れて家出してきた少女やら(彼女は監督の実の娘)、ロマ族の歌手やらで、これは人としての絆をつくりながら描かれるロードムーヴィなのでした。テーマは「家に帰ろう」 変わったつくりの映画だと思った。ワンシークエンスを最後まで見せないで、次のシークエンスによって前の出来事の結果がわかるようになっている。主役のミシュカ役の男優(ジャン=ポール・ルション)は舞台役者ではかなり有名な方らしい、ということは、その腹の出方をみてもわかる。 全体的に地味で、いかにもフランス映画らしい映画だったが、何か強烈なものがないので時とともに忘れていってしまうだろう。その中でも鮮烈に覚えているのは、自分の父親を置き去りにした男のマッチョな筋肉のみ・・・と、ちょっとさみしいな。 会場には(左より)プロデューサーのジル=マリー・ティネ、監督の奥様であり映画にも妻役で出演したクレール・ステヴナン、監督&看護人役で出演したジャン=フランソワ・ステヴナンが来てくれました。。 |
| クロエの棲む夢 Les diables ['02] ★★★☆ |
監督・脚本/クリストフ・ルッジア製作/アラン・ロッカ 脚本/オリヴィエ・ロレル 撮影/エリック・ギシャール 出演/ヴァンサン・ロティエ、アデル・ハネル、ジャック・ボナフェ、オレリア・プティ、ドミニク・レイモン 親のいないこどもたちが抱える心の闇の深さははかりしれない。その闇を明るく照らすには、大人の自分勝手な愛情ではなく、自然のにおいであったり、人肌のぬくもりであったり、木漏れ日であったり、同じ闇を心に抱える仲間の存在であったり。 忘れられないシーンがたくさんある。森の中で路頭に迷う二人の姿、汚い地下室で眠る姿、家に火をつける過激さ、またこの中で描かれる性への目覚めもひどく官能的で美しかった。 また、警察に連行されそうになった兄弟を、どこからともなく現われた無数の仲間たちが警察に襲いかかり、助けるシーンでは、思わず拍手しそうになった。 大人顔負けの主役の二人が演技が素晴らしい。 ところどころの映像が(特に自然の)素晴らしいなあと思ったら、撮影監督は『ラッチョ・ドローム』や『ガッジョ・ディーロ』、『キャラバン』などで、その壮大な自然を撮ったエリック・ギシャールだった。どーりで!!! 会場には、プロデューサーのアラン・ロッカ、監督クリストフ・ルッジアと、出演してくれた将来有望な二人の役者ヴァンサン・ロティエ&アデル・ハネルが来てくれました。 |
| バティニョールおじさん Monsieur Batignole ['02] ★★★★ |
| 監督・脚本/ジェラール・ジュニョ 脚本/フィリップ・ロペス=キュルヴァル 出演/ジェラール・ジュニョ、ジュール・シトラック、ミシェル・ガルシア、アレクシア・ポルタル とても素晴らしい映画でした。 1942年代ナチ占領下のパリ。肉屋を営むバティニョールおじさんがユダヤ人のこどもをかうまうはめになった、人殺しをするはめになった、とんでもない嘘をつくはめになった、彼らをスイスへ連れて行くはめになった、警察に追われるはめになった・・・ このハメられたおじさん、バティニョールがごくごく普通なのが逆に感動的。そのストーリーからすると陰鬱な感じかと思いきや、結構(というよりかなり)笑えるシーンもあって、ある意味この手の映画を創り慣れしたフランス人の屈託のなさがいい感じで出ている作品かもしれない。こうやってポジティブ思考で、あの占領時代(1940−44)を彼らは生きのびてきたんだなと思うとうれしい。 主役になるジェラール・ジュニョが思いのほかかわいくて、会えてちょっと得した気分になった。 [写真1] サインをひとり待つバティニョールおじさん [写真2] サインするバティニョールおじさん [写真3] 握手するバティニョールおじさん |