| 巨匠たちのファーストステップ |
| できれば全部観たかった! 「巨匠たちのファーストステップ」と題されたこの特集は、今やすっかり有名になってしまった映画作家たちの初期の時代につくられた短編集である。短編映画自体は、衛星放送の「シネフィルイマジカ」でもほぼ毎日のように放映されているし、また最近では、ネット上で配布しているところも多いので見ることに関しては事欠かないが、やはりこれだけの監督の短編がそろうのもまたとない機会だろう。 この「ぴあフィルム・フェスティバル」でこのような特集を組んだのは過去2回('77&'97)あったそうで、今回はその第3回目となる。今回取り上げられた監督たちは、マチュー・カソヴィッツ、エミール・クストリッツァ、セドリック・クラピッシュ、ジャン=ピエール・ジュネ、マーティン・スコセッシ、トニー・スコット、リドリー・スコット、リー・タマホリ、スティーヴン・フリアーズ、サリー・ポッター、ロマン・ポランスキ、デヴィット・リンチ、ジョージ・ルーカス、パトリス・ルコント、黒澤明など。 わたしは最近、休みの日になるとだれてしようがない。当日ついうっかり寝坊をしてしまって(でもちょっと確信犯的に)、ひえ〜!間に合わない〜!と思いながら電車に飛び乗り、約10分ほど遅れて会場に到着。当日は平日ということもあってか人の入りも少なく、客層も普通で(ふつうってなんだ?)、問題なく席は取れたのでひとまず一安心。わたしが鑑賞した映画は以下の通りです。 |
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この人はぜったい外せない マチュー・カソヴィッツ 『一寸の虫にも5分の魂(Fierrot le Pou)』1990年/7分 カメラワークといい、見せ方といい、カソヴィッツ節がぎゅっぎゅっと詰まっている。バスケットボールのシュートをキメたい男(マチュー・カソヴィッツ)のおとぼけぶりがコメディタッチで描かれるが、台詞というものがいっさいない、音とリズミカルな動きだけでキメた作品。白黒の映像と音による構成が『憎しみ』に通じるものを感じた。カソヴィッツ・ファンなら一度は観ておいて損はしない。 『悪夢(Cauchemar Blanc)』1991年/11分 これはM・カソヴィッツの公式HPでダウンロードして既に見ていた。郊外(バンリュー)での日常茶万事を描く。デビューしたばかりのイヴァン・アタルや、えせ刑事役でジャン=ピエール・ダルッサンあたりが出ているのが嬉しい。 『アサシンズ〜前章〜(Assasins)』1992年/11分 97年につくられたミシェル・セロー出演『アサシンズ』の序章ともなる短編作品。個人的には『アサシンズ』の方はあまり評価してないので、この短編も見ていてあまり心地よいものではない。殺し屋見習いのマックス演じるマチュー・カソヴィッツの雰囲気がなんか変! |
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映画作家であるまえにアーティストであった デヴィット・リンチ 『Six Men Getting Sick』1967年/4分 『The Alphabet』1968年/4分 『The Grandmother』1970年/34分 おもしろすぎる。いったいどこからこんなアイデアが生まれるのだろうか。最初の3作品は、アニメーションとイラストと実写が混ざった奇怪な世界。人体の内蔵が透けて見えたり、顔を白く塗りたくった人が出てきたり、植物のなかからおばあさんが出てきたり、コマ撮りしたシーンが紙芝居のようであったり、見方によってはアヴァンギャルドで異常な世界だ。迷宮にはいりこむように暗闇のなかを歩くシーンはリンチお得意の演出。リンチの世界はこの時点ですでにできあがっていたのだなと納得。リンチ好きなわたしとしては、わくわし通しであった。 『The Amputee』1974年/5分 白黒で撮られた作品。足の傷口から水(血にも見える)がどんどん垂れているのをものともせず、女性が、平然と恋人に手紙を書いているというシチュエーションがこわい。 |
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やっぱりすごい ロマン・ポランスキ 『天使が訪れる時(Gdy Spadaja Anioly)』1959年/22分 ひじょうに美しい映画。公衆トイレで働く老女が、昔を思い出ししているうちに天井のガラスを突き破って天使が現われるというお話。叙情的に描かれたすべてのシーンが美しく、ロマン・ポランスキーはやっぱりすごい監督なのだなと再確認してしまった。 |
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SWをおもしろく感じないのは相性の問題 ジョージ・ルーカス それぞれの作品にルーカスらしいものを見出したにもかかららず、全体的におもしろく感じなかったのは、わたしとルーカスの作品との相性の問題であったのだな。 『Look at Life』1963年/2分 未見。というか遅れて見逃してしまった。 『1:42:08"』1966年/7分 ルーカスってスピードが好きなのだな。黄色いボディに黒のラインのレーシングカーが、サーキットのなかを猛スピードをあげて走っているのだけを撮った作品。SWでも描かれたレーシングを思い出した。 『THX 1138-4EB』1966年/15分 コンピュータによって支配された世界から逃げ出すひとりの男を追った作品。「彼は死んでしまった」と言われた男の到達点は地上であったというどんでん返しがある。コンピュータ世界の人間が、白装束で身を包み無機質なのはひとまずありきたりの印象。同年代につくられた近未来を描いた作品としては、トリュフォーの『華氏451('66)』、ゴダールの『アルファヴィル('65)』の方が、その概念的にみてももっとおもしろいと思う。 『The Emperor』1967年/24分 1960年代に活躍したDJ、ボブ・ハドソンを追った作品。字幕がついていなかったので全然わからなかったが、DJ=若者文化としてみると、60年代のアメリカ社会に少しでも関わったことのある人は共感がもてるものがあるかもしれない。 その他 リー・タマホリ『Thunderbox』、スティーヴン・フリアーズ『バーニング(The Burning)』、黒澤明『礎石』 |