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GRANDE RETROSPECTTIVA DEL CINEMA ITALIANO : DAL MUTO AGLI ANNI80 2001年11月13日〜 2002年2月24日、東京・東京国立近代美術館フィルムセンターにて |
こちらは第2期(2002年1月〜2月)で観た作品です [13作品]
邦題五十音 [アッスンタ・スピーナ] [男と5つの風船] [オルゴソロの盗賊] [危険分子たち] [猿女] [シシリーの黒い霧] [大女優チカラ・フォルミカ] [血ぬられた墓標] [妻たちとオレンジ] [灰] [ベリッシマ] [醜く、汚く、意地悪く] [労働者階級は天国に入る]
簡単な感想のみを書いています。映画に関する詳しい情報は公式HPへどうぞ!
おもしろ度★4つが最高
アッスンタ・スピーナASSUNTA SPINA 1915年/サイレント(ピアノ伴奏付き)/監督グスターヴォ・セレーナ/出演フランチェスカ・ベルティーニ、グスターヴォ・セレーナ、カルロ・ベネッティ ★★ |
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いい映画なのだがイマイチ乗り切れなかった。簡単にいってしまうと、イタリア・ナポリの美しい景色を舞台にした、アッスンタ・スピーナという女性の「貞節」を問うた作品なのだが、前半部分にちらほらと眠りが入ってしまったせいか、この映画に関してはきちんとした評価ができそうにない。とは言っても、話の流れは全部わかってしまったのが不思議。特にラストの主役二人の迫力ある演技は素晴らしく(この辺になると起きている)、もしかしてこれは、かなりいい作品なのではないかと思ったときはもう遅し、「FIN」の文字が。
この「イタリア映画大回顧展」で上映される無声映画には、全て生のピアノ伴奏がつく。澄み切った美しいピアノの音と、サイレントの白黒画面とがシンクロしあい、フィルム・センターのあったかく座り心地のよい椅子の上で、日頃の疲れもどっと出て眠りこけてしまったのはわたしだけではないはず。そういうあなただって、きっと。 |
男と5つの風船BREAK-UP 1964-68年/日本未公開作品/監督マルコ・フェッレーリ [猿女]/出演マルチェロ・マストロヤンニ、カトリーヌ・スパーク、ウィリアム・バーガー ★★ |
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これは個人的な偏見かもしれないが、あの名優マルチェロ・マストロヤンニにだって合う役と合わない役がある。
マストロヤンニ扮するお菓子工場長のマリオが、お菓子の宣伝のため「風船」を使うことを思いつく。でも、ただ空気を入れて膨らむだけしか能?のないモノだけに、ある意味謎。マリオの頭の中に「破裂するまでにどれくらい空気が入るのか」という疑問がわき起こる。実は、こんなしょうもない疑問というものは、天才と阿呆の紙一重的発想。そしてマリオは次第に追いつめられ、精神的に壊れていってしまうのだが、もしこのマリオ役がアンソニー・パーキンスだったら・・・と、思うとちょっと残念(アメリカ人だけど)。お話自体は結構おもしろいんだけどなあ、ちょっとカルトっぽい感じがして。マルチェロ・マストロヤンニの持つ天然的な陽気さと明るさが難点か。 この作品、当時は本国イタリアでは配給されなかったらしい。なるほどね。ちょっとわかる気もする。★2つは、男のじらし方がうまい相棒役、カトリーヌ・スパークにあげよう。 |
オルゴソロの盗賊BANDITI A ORGOSOLO 1961年/日本未公開作品(65年に東京国立近代美術館で上映)/1961年ヴェネチア映画祭新人賞受賞/監督ヴィットリオ・デ・セータ/出演ミケーレ・コッス、ペッペッドゥ・クック ★★★★ |
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冒頭、狩りのシーンは素晴らしい迫力。昔の黒澤映画を思いだした。全編に漂う緊張感が心地よく、透明感のある白黒の映像と相まって映画の醍醐味を存分に味わわせてくれた。
これは、羊飼いの男が憲兵殺害の罪に問われ、逃げていくうちに盗賊のようになってしまう話なのだが、きらきら光る男の澄んだ目を見ていると、実は彼は羊飼いなんかじゃなくて本当は貴族なんじゃないかと思ってしまう。全体的に高貴な雰囲気漂う作品。彼といっしょに逃げていく羊たちのもこもこした背中を見ていると、なんだか雲の上にいるような気分になって、崇高な気持ちになってくるから不思議。珠玉の逸品。 ジャック・リヴェットも彼のベストフィルムのひとつにあげているらしい作品。これを観られて幸運だった。 |
危険分子たちSOVVERSIVI 1967年/日本未公開作品/監督パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ/出演ジュリオ・ブロージ、マリヤ・トチノフスキ、ルーチョ・ダッラ、ジョルジョ・アルローリオ ★★★★★★★★ |
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なにがなんだか全然わからなかったけど凄くおもしろかった。★↑の付け方を見ても分かるかもしれないけど(笑)。
でもこれを「おもしろい」なんて言う人は、わたしのようなごく一部の人間ぐらいだろうなあ、というのは、この映画が上映中、寝ている人の多かったこと! で、パンフでこの映画の説明を見てみると、イタリア共産党の指導者トリアッティの葬儀に参列した4人の共産党員の、それぞれのドラマ、とある。そして、このトリアッティの死は共産党の賛同者にとっては、時代の終わりを告げる出来事、とも書かれている。 分からないはずだわ(笑)。政治的な背景があって、さらにストーリーがないんだもの。それでもこの中に出てくる4人のキャラがもの凄くユニーク。自分は病気だ、と思い込み「病」に取り憑かれている男が出てきたり(彼は極度なマザコン男で、ママに靴下なんか履かしてもらっちゃう)、また、猿男のような体中毛むくじゃらの男が、ふと肌着をはだけ、じっと自分のお腹を眺めてみたり。とにかく、最初から最後まで意表をつくシーンばかりで、画面から目を離せなかった、ということだけは確か。 |
猿 女LA DONNA SCIMMIA 1964年/日本未公開作品/監督マルコ・フェッレーリ [男と5つの風船]/出演ウーゴ・トニャッツィ、アニー・ジラルド ★★★ |
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すごかったなあ、アニー・ジラルドの猿女。
生まれながらにして体中毛むくじゃらの女マリア(アニー・ジラルド)が、お調子者のアントニオと出会い、金もうけのためにまんまと利用されてしまう。ジャングルで見つけた「野性の猿人間」として見せ物にされたり、エロティックな店でストリップ・ショーをしたり、あげくの果てに死んでも子供(小猿)と一緒に剥製にされちゃったり。 これは悲劇か?喜劇か? わたしはあえて喜劇だと断言しちゃおう。じゃないと死んでも利用された猿女が浮かばれないものね。ストリップ・ショーのときのアニー・ジラルドの妖艶な腰つきに思わずどきっ。 猿女を利用するだけしか考えてなかったアントニオが、彼女が死んだときに見せるホロ泣きがうれしい。これがフェッレーリ節なのかな。でもその後、死んだ猿女と小猿を剥製にしちゃって、またまた金もうけを企むアントニオの行動はもっとうれしい。 |
シシリーの黒い霧SALVATORE GIULIANO 1961年/ベルリン映画祭銀熊賞受賞/監督フランチェスコ・ロージ/出演ピエトロ・カンマラータ、フランク・ヴォルフ ★★ |
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そうか、これが有名なシシリーの黒い霧か。濃いめの男たちがわんさか出てくる、かなり男っぽい作品。内容も深い。題材がシチリアの独立運動をバックにしているせいか、それとも舞台がシチリアだからか。この映画の中では、女性は泣くことしか存在理由がないようだ。息子ジュリアーノの亡骸を前に母親がひどく感動的な泣き方をする。傑作、ではあるのかもしれないけど、個人的にはかなり厳しかった。これは盗賊ジュリアーノの謎の死を巡る社会派の作品。誰が殺したのか?何故? 後半の裁判シーンは迫力満点だが、見終わった後すごく疲れているのに気がついた。そうだ、エスプレッソでも飲んで気を取り直そう。
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大女優チカラ・フォルミカL'ILLUSTRE ATTRICE CICALA FORMICA 1920年/日本未公開作品/サイレント(ピアノ伴奏付き)/監督ルーチョ・ダンブラ/出演リア・フォルミア、ウンベルト・ザンノコリ ★★ |
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邦題の「大女優チカラ・フォルミカ」とは、大女優のチカラ・フォルミカの話ではなく、大女優になりたかったチカラ・フォルミカの話だったのですね。友人知人を巻き込んで映画を撮る、という映画狂のチカラ嬢が熱い。悲しいお話かと思ったら喜劇だったんだな、これは。クラシック映画特有の、カクカクカクとした動きがさらにコミックさを増して、笑った。チカラ嬢の迫力に巻き込まれてしまった人たちもおかしいが、結局大失敗に終わってしまった映画づくり、失意のうちに針仕事をするラストのチカラ嬢の姿に拍手。セラヴィ、人生、こんなもんだね。
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血ぬられた墓標LA MASCHERA DEL DEMONIO 1960年/監督マリオ・バーヴァ/出演バーバラ・スティール、ジョン・リチャードソン ★★★★ |
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傑作ホラー映画発見! これは怖い。
19世紀を舞台に、魔女の扱いを受けて火あぶりの刑に処された王女の復讐と復活の話。墓の中でミイラ化した屍が、不注意にも怪我をしてしまった旅人の一滴の血によって息を吹きかえし、徐々に復活しはじめる。このシーンの怖いこと。闇の中にぱっくり開いた洞穴のような眼孔から、ゼリー状の目玉がぎろりとむき出るところなど、今思いだしても素晴らしいなあと思う。 そしてなぜかこの王女になる女性、バーバラ・スティールがマイケル・ジャクソンにそっくり。マイケルも今や整形に整形を繰り返し、怪物のようなお顔になってしまったが、もしかしてこの映画に出演したのは彼なのでは? この映画がつくられたのは1960年、彼が復活を繰り返していたって不思議じゃない。そう言えば彼が一躍有名になったのは、ゾンビが歌って踊る曲だったっけ。秀作。 |
妻たちとオレンジLE MOGLI E LE ARANCE 1917年/日本未公開作品/サイレント(ピアノ伴奏付き)/監修・原案・脚本ルーチョ・ダンブラ/監督ルイジ・セルヴェンティ/出演ルイジ・セルヴェンティ、ミーラ・テッリビリ ★★★★ |
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「その昔、父なる神は、世界中のオレンジを半分に割ってしまわれた。以来、ぴったり合うオレンジの片割れを持った恋人同士が結婚する運命にある」というのがこの映画のタイトルともなる「オレンジ」に関するお話。
ストレスで疲労困憊していた若い侯爵が体をやすめるため行った治癒場で、一人の男爵と20人の女性たちと出会う。明るくてかわいい女性たちと、紳士で上品な男爵、彼は当然のごとく、彼らといっしょに過ごすようになる。そして、あの女性この女性と、気を散らせているうちに、次第に本命を見つけていくというとっても幸せなお話。 これは>今回観たサイレント映画の中では一番素晴らしい作品。 そしてもしかして、こんな美しいサイレントを観たのもはじめてかもしれない。話の展開もすごくお洒落で、愉快なシーンも含まれていたりして、全く無声というものを感じさせなかった。 中でも、先のオレンジに関する言い伝えが世界中に広がっていくあたり。 子供、老人、はたまた生まれたばかりの赤ん坊まで、手にはオレンジの片割れを持ち、オレンジを合わせながら相手を見つけていく、というシーンは、優しさにあふれていて見ているだけで嬉しくなってくる。 監修として名をつらねているルーチョ・ダンブラという人物はただものではないらしい。パンフを見る限りでは、生存中は小説家、演劇人、批評家としても活躍していたとのこと。先の『オルゴソロの盗賊』同様、後にも先にもこのような秀作はめったに見られるものじゃない。 |
灰CENERE 1916年/サイレント(ピアノ伴奏付き)/監督フェボ・マリ/出演エレオノーラ・ドゥーゼ、フェボ・マリ ★★★ |
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映画とは、光と闇の織りなす映像美なのだと改めて気づかせられた作品。とにかく光が美しい、闇が美しい。粉ひきをする男たちのシーンがこの上なく美しい。お話は、既婚者の男との間にできた子供を、貧しさゆえに育てられず、父親の元に置き去りにした母親の孤独と悲しみを描いている。ある意味、古典的な物語ではあるけれど、久々にこのような悲劇を観ると、色のないモノクロの画面から想像力=色というものを掻きたてられるような気がする。
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ベリッシマBELLISSIMA 1951年/監督ルキーノ・ヴィスコンティ/出演アンナ・マニャーニ、ヴァルテル・キアーリ ★★★★ |
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これはフィルム・センター所蔵の作品で、今回このイベントのためにお蔵から出てきた。わたしは以前ずいぶん前にこの作品を観ていて(確かヴィスコンティの特集上映だったと思う)、ものすごく良かったのを覚えていた。今回改めて観てみても、やっぱり素晴らしいなあ。
紐で縛ったハムのような体つきをしたイタリア女たちがごろごろ出てくる。情感もたっぷりで、いかにもイタリアらしいイタリア映画という感じ。子供を持つ母親が、自分の子供を映画に出して夢を託すという、何となく、自分の子供をモノ扱いする親の身勝手さを強引に描いたような作品だが、ラストのどんでん返しがとにかく感動的。母親というものは、無条件で子供を愛しているものなんだね。おかあさん、ありがとう。カメラテストのときに、わんわん泣く子供の顔がむちゃくちゃかわいい。ついでにこちらも泣けてくる。初期のヴィスコンティの作品は本当にいいな。 |
醜く、汚く、意地悪くBRUTTI SPORCHI E CATTIVI 1976年/日本未公開作品/監督エットレ・スコーラ/出演ニーノ・マンフレーディ、マリア・ルイーザ・サンテッラ ★★ |
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これはもう、この映画の題名そのまんまの作品。人間はこんなにも、醜く、汚く、意地悪く生きられるものなんだよ。
イタリア映画を何本か観ていると、必ずといっていいほど出てくるスラム住宅。戦後の日本を描くときに出てくる闇市みたいなものかな。だだっぴろい広場に、板とブリキを組み合わせてつくったような掘っ建て小屋。かろうじて柵があるから、他人とのプライベート?が守られる。その小屋の中で、まるでゲージに入った実験用のネズミのようにひしめき合って寝ている家族。それもやたら多い。誰が誰の子供で、誰と誰が兄弟なのかさっぱりわからない。そして生きるということは、直接性欲にも結びつく。彼らは発情期なしにいたるところでSEXをする。いちおう自分の子供には手を出さないみたいだが、息子の嫁、あたりだとOK分野に入るらしい。これって、動物じゃん。あ、動物は自分の子供でもOKか。なんだか知らないけど、すごい迫力のある映画だった。 |
労働者階級は天国に入るLA CLASSE OPERAIA VA IN PARADISO 1971年/日本未公開作品/監督エリオ・ペトリ/出演ジャン・マリア・ヴォロンテ、マリアンジェラ・メラート ★★★★ |
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映画を観ても邦題の意味がイマイチ良くわからなかったが、かなりおもしろかった。これはひとえに主役の男ルルを演じるジャン・マリア・ヴォロンテのおかげだと思う。とにかく惹きつけて離さない濃いキャラ。彼は工場で一番出来のいい男として出てくるが、完璧なる個人主義のため、「労働組合員側」と「反労働組合派(学生)」のどちらにも属さない彼の姿勢がどんどん空回りしていく姿を描いている。
社会問題を描いた作品というより、西洋の思想のあり方とはこんなもん、みたいなものを突きつけてくる映画。 結局彼は孤独になっていき、精神的にも危うくなっていくのだが、ある日、工場で作業中に指を落としてしまう。そしてそこからの彼の変わり方が興味深い。 また、彼をうまく巻き込んで「解雇」にまで追いやってしまった「反労働組合派」のいいかげん?な態度がこれまた笑える。だって、「個人的なケースには干渉しない、俺たちは思想を追求しているんだ」みたいなことを言っちゃうんだもの。今まで、工場側のやり方に反対していたのに、その工場に解雇された哀れな人間には興味がない、ということをしゃしゃあと述べる。 そして、そんなことを言っている学生は、なかなか社会人になれずに、そのまま老け込んでいって、工場で働いているおじさん達と同じような年齢になっている。仕事をしてもしなくても、イデオロギーがあってもなくても、人間って同じように加齢していく。当たり前だけど、これってすごい。ぶつくさ言いながらも、日本では、ある一定の年齢に達するとみんな社会人になる。こういう国では思想というものを発展させていくのは無理かも、と思ってしまった。 |