第10回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭
The 10th Tokyo International Lesbian & Gay Film Festival
2001年 7 月 18 日〜 22 日 東京・青山スパイラル
始めて「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」が開催されたのは 92 年のこと。場所も東京・渋谷パルコ・スペースPART 3 で行われ、こぢんまりとした映画祭だったらしい。以来口コミで広まり、人気も高まり、次第に常連客も増え(常連客がスタッフになったりして)、そして今年は記念すべき第10回目。今回はじめてこの映画祭に4日間通い詰めて改めて思った。そうだ!映画祭はお祭りだったんだ!
そして、多々ある映画祭の中でもこの「東京レズビアン&ゲイ映画祭」が一番楽しくてお祭り気分いっぱいの(季節も夏だし)映画祭だということに気がついた。お兄ちゃんたちの陽気な気質と、お姉ちゃんたちの元気いっぱいの笑顔、また映画祭スタッフ全員がボランティアということもあって、手作り雰囲気いっぱいの中でこの映画祭は開催されました。

映画祭の会場の様子はこちら(写真がちょっと重たい、許しておくれ)
映画祭の公式HPはこちらです。



[鑑賞順] ★4つが最高

PSYCHO BEACH PARTY『サイコ・ビーチ・パーティ』★★
2000 年/アメリカ映画/監督ロバート・リー・キング
主人公フローレンスは人に言えない秘密を持っていた。くるくる回るものを見ると、もう一人の自分(SMの女王アン・ボウマン)が現れてしまうのだ。そしてその度に殺人事件が起きる。さて犯人は誰?
おちゃめなんだな、これがまた。『ハンニバル』で具合悪くした人も『セブン』で吐いた人も、これならOKでしょう。脳天気なサーファー達とペコちゃんみたいな女の子、そしてお色気たっぷりの三流ホラー映画女優を巡って次々と起きる殺人事件、だけどその死体がまるで嘘っぽい。おまけにこの事件を捜査するのはケバイ化粧を施したゲイ捜査官。これが笑わずにいられるか! 映画祭のオープニングにふさわしいカラフルで楽しい映画でございました、はい。

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MAUVAISE CONDUITE / DIRTY CONDUCT
『猥褻行為〜キューバ同性愛強制収容所』★★★★
1981年/フランス映画/監督ネストール・アルメンドロス
フランソワ・トリュフォーのカメラマンだったネストール・アルメンドロスが作ったドキュメンタリー映画。キューバにおける同性愛者への迫害を、国外に亡命した人たちの証言をもとに構成されている。
彼らはただ、身振りが大げさでぴったりしたパンツをはいている(=猥褻行為)というだけで強制収容所に入れられた人たちだ。この中に『夜になるまえに(ハビエル・バルデム主演)』の原作者レイナルド・アレナスも登場してくる。彼らの証言を聞いていると、本当の猥褻行為は同性愛者の彼らではなく、彼らを酷使したキューバの上層部の権力者たちであることがわかる。フィデル・カストロのインタービューが彼らの証言と異なっているのが興味深い。


EL MAR / THE SEA『エル・スール〜海と殉教』★★★
1999年/スペイン映画/監督アグスティ・ヴィラロンガ
少年時代に起きた忌まわしい出来事。彼らはその出来事を心の奥底に秘めたまま別れるが、10年後にまた再会することになる。
透明な美しい映像の中に、目を覆いたくなるほどの残酷なシーンの数々、宗教の重さ、同性愛者の痛ましさ、十字架の意味。美しいということは残酷でもあるということです。これはスゴイ映画。見終わった後重くずっしりと心に残る作品。できることならもう一度観たい。


PANTALONES『パンタロン』★★★
2000年/スペイン映画/監督アナ・マルティネス
たった4分間の短編だがきっと一生忘れないだろう。下半身すっぽんぽんの男性に、貼り絵状態で少しずつジーンズを着せていく、着終わった後、脱いでみると中身が女性にすり替わっているというアイデア賞もの。これは上記の『エル・マール』と併映された。


PRESQUE RIEN /COME UNDONE『夏の終わり』★★
2000年/フランス映画/監督セバスチャン・リフシッツ
ひと夏の激しい恋を描いた作品。
人が出会い、愛し合い、そして別れるときの感情は、男女間のカップルでも同性愛者でも同じだ。過去のシーンと現在のシーンがモザイクのように入れ混ざった、ちょっと複雑なつくりになっている。海辺でじゃれ合う二人の青年の姿はまるで二匹の子犬のようだ。そしてこの映画は最後に二人が別れた理由をはっきりと見せていない。ひと夏の恋の終わりを悲しむ主人公の姿のみを丁寧に描いた作品。いかにもフランス映画らしい。主演はジェレミー・エスカイム。


EMPORTE-MOI / SET ME FREE『セット・ミー・フリー』★★
1999年/カナダ・スイス・フランス映画/監督レア・プール
複雑な家庭環境の中で育ったアナは、たまたま観たゴダールの映画『男と女のいる舗道』に出てくる自由奔放なアンナ・カリーナの姿に憧れ、彼女の真似をするようになる。
思春期の娘の心の揺れ動く様を、繊細でなおかつ瑞々しく描かれた作品。アンナ・カリーナによく似た女教師に向かって「愛しているわ」と言う主人公アナに笑った。ゴダール映画のシーンが流れ、フランス映画ファンにとってはたまらない作品でもあった。主演のカリーヌ・ヴァナスはこれが映画初出演。そして、母親役にパスカル・ブシェール、父親役はミキ・マノイロヴィチの力強いバックアップも見応えあり。

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QUEER CARTOONS『ひょっとしてゲイ?〜爆笑アニメ短編集』★
一口にアニメといってもいろいろある。CGを駆使したもの、アメリカンコミックタイプのもの、貼り絵を動かしたようなもの、ディズニータイプのもの、などなど。この映画祭でアニメが登場したのは今回が初めて、ということで、「どうせだから笑ってもらいましょう!」という映画祭側の意図がよくわかるアニメばかりだった。


PLATA QUEMADA / BURNT MONKEY『逃走のレクイエム』★★★
2000年/スペイン映画/監督マルセロ・ピニェイロ
1965年にブエノスアイレスにて現金輸送車の襲撃強盗事件が発生、犯人の男3人は警官を殺害し現金を奪って逃走する。
これは実話をもとにしてつくられた映画。出てくる男たちがとにかく渋い! おまけに窮地に追い込まれても彼らはいつも黒のスーツにネクタイといういでたちを崩さない。3人の男のうち2人はホモセクシャルの関係にあり、逃走中も痴話喧嘩が絶えない。ついに一人の方が女に走るが、結局はよりを戻し、女を捨てる。この捨て方が凄い。女=利用するもの、という図式を外さない。しかし捨てられた女ほど怖いものはない。彼女は警察に彼らの隠れ家を通報し、ラストは血と汗でどろどろの銃撃戦が始まる。アルコールをあおり、薬を打ちまくってハイになった状態でのこの銃撃戦はスバラシイ!『オープン・ユア・アイズ』の エドゥアルド・ノリエガ主演。


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