★★★★4つが最高(全くの主観によるものです)
CINEMA ... 劇場で観たもの DVD/VIDEO ... 自宅のタタミシアターで観たもの
2月に観た映画
│エスター・カーン│がんばれリアム│ぼくの神さま│チョムスキー 9.11│ジターノ│アレックス│ふたりのトスカーナ│レッド・ドラゴン│銀幕のメモワール│小さな中国のお針子│裸足の1500マイル│ブギーナイツ│クイルズ│ノスタルジア│
| エスター・カーン、めざめの時 ESTHER KAHN■2000年■フランス=イギリス■監督アルノー・デプレシャン■原作アーサー・シモンズ「エスター・カーン」平凡社刊■出演サマー・フェニックス、イアン・ホルム、ファブリス・デプレシャン |
VIDEO ★★★ |
| まずは原作を読みたくなった。芸術性のとても高い作品だけど、邦題のサブタイトル“めざめの時”は不的確だと思う。これはエスターという女性がめざめる話ではなく、繭から脱皮するわけだから、どちらかというと「変身」に近い。昔の映画で、似たような内容の映画があったような気がするけれど思い出せない。残念なのは、そうそう何度も繰り返して観られないなと感じてしまうところ。けっして重いわけではないのだが。主役のサマー・フェニックスは巧いのだが、舞台の大女優になるにはちょっと地味なようにも思う。(2003.02.23) | |
| がんばれリアム LIAM■2000年■イギリス■監督スティーヴン・フリアーズ■脚本ジミー・マクガヴァン■撮影アンドリュー・ダン■出演イアン・ハート、クレア・ハケット、アンソニー・ボロウズ、ミーガン・バーンズ |
DVD ★★ |
| まず主役のリアム演じる男の子が特殊な雰囲気で惹きつけられる。こどもなのにおじさんのような顔をしていて、ブリキの太鼓のようでもある。口元がきゅっとしまっているせいか、緊張するとどもってしまうという役柄にぴったりはまって、真実味が高い。全体的にいい映画なんだけど印象が薄くて、もう一度これを観るか?と問われたらNOだ。貧乏疲れでキレたイギリス女は怖い!ということだけはよくわかった。(2003.02.22) | |
| ぼくの神さま EDGES OF THE LORD■2001年■アメリカ■監督ユレク・ボガエヴィッチ■出演ハーレイ・ジョエル・オスメント、ウィレム・デフォー、リチャード・バーネル、リアム・ヘス |
VIDEO ★★★★ |
| 52年のフランス映画『禁じられた遊び』(監督ルネ・クレマン)を思い出してしまった。こどもというものは、無垢ゆえにごく自然のうちに残酷な“遊び”をはじめてしまう。この場合は、イエス・キリストと12人の使途たちの役割を演じるという遊びだが、たとえそれが最初はひとりの大人の思いつきであったとしても、戦争中の、悲惨な状況を目のあたりにしているこどもたちにとって“遊び”は、直接“生きる”ことに繋がってしまうのだ。舞台は1942年のナチス占領下のポーランド。キリストがユダヤ人であったという事と悲劇的にリンクしてしまうラストに涙。神父演じるウィレム・デフォーはクスリから立ち直って聖職者についたようにも見えた。(2003.02.22) | |
| チョムスキー 9.11 POWER AND TERROR■2002年■アメリカ■監督・編集ジャン・ユンカーマン■企画・製作:山上徹二郎■撮影:大津幸四郎 |
CINEMA ★★ |
| 目からうろこ。この映画がいいのではない、“ノーム・チョムスキー”という人物がすごいのだ。アメリカにもこういう人(正確にはユダヤ人)がいるんだということがわかって、少し希望がわいてくる。彼の講演やインタビューをかき集めたドキュメンタリーだけど、構成は凡庸以下。ぷっちんぷっちん切らないで、どうせなら彼の講演全部見せてほしかった。(2003.02.19) | |
| ジターノ GITANO■2000年■スペイン=ドイツ■監督マヌエル・バラシオス■出演ホアキン・コルテス、レティシア・カスタ、マルタ・ベラウステギ |
DVD ★ |
| あまり期待してなかったがこれほどとは。なんか良いシーンが出てくるかもしれないと思い、最後まで観たのが悪かった。今年はじめての退屈きわまりない第一級品。ホアキン・コルテスの口がいつも半開きなのがかなり気になる。こどもじゃないんだから、もう少し口のしまりをよくしてほしい。(2003.02.17) | |
| アレックス IRREVERSIBLE■2002年■フランス■監督ギャスパー・ノエ■音楽トマ・バンガルテル■出演モニカ・ベルッチ、ヴァンサン・カッセル、アルベール・デュポンテル |
CINEMA ★★★★ |
| 淫らな映画ではけっしてない。確かに痛いところはあるけれど、これだけははっきりいえる。過酷なご褒美をもらったあとは、人は一番高いところに昇天できるのだ。ギャスパー・ノエ発、時間軸を逆さにした混迷作。冒頭、「ドルビーステレオ」のロゴが上から下がってきたときは思わず笑いが・・・。ここまでやるか!? つづきを読む(2003.02.16) | |
| ふたりのトスカーナ IL CIELO CADE■2000年■イタリア■監督アンドレア&アントニオ・フラッツィ■原作ロレンツァ・マッツェッティ「天が落ちてくる」■脚本スーゾ・チェッキ・ダミーコ■出演イザベラ・ロッセリーニ、イェルーン・クラッペ、バルバラ・エンリキ、ジャンナ・ジャンケッティ |
CINEMA ★★★ |
| イタリア・トスカーナ地方の、牧歌的でまばゆいばかりの風景を見るだけで心にじんときてしまう。何度となく聞いたような話なのに、観終わった後のこの充足感はなんだろう。余計なものはなにもない。主役のふたりの少女と、彼女らを取り巻く人たちを中心に描かれているのが好感度大。おもしろかったのは、こどもが旧式のトイレに落ちてしまって糞まみれになるところ。イザベラ・ロッセリーニはもうすでに大女優の貫禄。それにしてもイタリア語の響きってホントに映画的だ!(2003.02.15) | |
| レッド・ドラゴン RED DRAGON■2002年■アメリカ■監督ブレット・ラトナー■出演エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、アンソニー・ホプキンス、ハーヴェイ・カイテル、エミリー・ワトソン、フィリップ・シーモア・ホフマン |
CINEMA ★★★ |
| 体育会系の監督の、健康的なエスプリに大きな不満を抱きつつも、「羊」と「人喰い」を観続けてきた者にとってはやっぱりこたえられないこのシリーズ。最悪なのは音楽と効果音。じわじわと攻めればいいものを、肝心なところで、キーン!とか、ヒャー!とか、ドッスンとかきてもう台なし。もっと静かに映画をみせてほしい。[関連コラムはこちら](2003.02.12) | |
| 銀幕のメモワール LIZA■2001年■フランス■監督ピエール・グランブラ■出演ブノワ・マジメル、ジャンヌ・モロー、マリオン・コティヤール |
CINEMA ★★ |
| あー、くやしい。すごくいい映画なのになんでこうなっちゃうの? ちょっといろいろ盛り込みすぎて散漫。いったい何が重要なのよ。リザとシルヴァンとの愛? 監督(ブノワ・マジメル)と老いたリザ(ジャンヌ・モロー)との関係? ナチス占領下のレジスタンスとユダヤ人? おまけにブノワ君と両親との関係まで出てくるし。役者もいいし、それぞれの話が悪くないだけにすごく残念。監督しっかりしろ!日本酒とワインはいっしょに飲んじゃダメ!コレステロールは減らせ!(2003.02.08) | |
| 小さな中国のお針子 BALZAC ET LA PETITE TAILLEUSE CHINOISE■2002年■フランス■監督・脚本・原作ダイ・シージエ■出演ジョウ・シュン、チュン・コン、リィウ・イエ |
CINEMA ★★ |
| 全体的にきれいな作品ではあるけれど、心になにも残らない。ひとりのお針子と、ふたりの青年との関係が微妙なところでおもしろいが、できればそれだけの映画でもよかった。いやそれだけの映画なんだけど、後半の現代のシーンになったところで、急にはたと醒めてしまうのはなぜ? 個人的におもしろいのは村長のキャラ。青年のひとりが、畑にまく肥やし(糞尿)をこぼしてしまったとき、愚劣醜悪に描かれていた村長の「低層農民階級の労力を無駄にするのか!」の叫び声が心に残る。読み書きができるから人間なんじゃない。バルザックがわかるから自由なんじゃない。最後に出てくる村長の顔の、なんと愛嬌のあることか。(2003.02.08) | |
| 裸足の1500マイル RABBIT-PROOF FENCE■2002年■オーストラリア■監督・製作フィリップ・ノイス■撮影クリストファー・ドイル■原作ドリス・ピルキングストン■音楽ピーター・ガブリエル■出演エヴァーリン・サンピ、ローラ・モナガン、ティアナ・サンズベリー、ケネス・ブラナー |
CINEMA ★★★★ |
| 母をたずねて1500マイル。アボリジニ人ってすげー。 オーストラリアの先住民アボリジニ人のこどもたちを親から引きはなし、白人社会に適合させようとした「隔離同化政策」は、なんと1890年代から1970年代初めまで続いていたらしい。こういう映画にわたしは弱い。原住民な生活のいったいどこが悪いのだ。広大な自然のなかで生きるには、毛布のたたみ方やお祈りの言葉なんかより、空を読む力と鳥の声を聞く能力ではないのか。またまた白人優生主義に対する嫌悪感が増大。モリー役の少女の、精悍で小賢しい小動物のような目が気持ちいい。(2003.02.03) |
|
| ブギーナイツ BOOGIE NIGHTS■1997年■アメリカ■監督ポール・トーマス・アンダーソン■出演マーク・ウォルバーグ、バート・レイノルズ、ジュリアン・ムーア、フィリップ・シーモア・ホフマン |
DVD ★★ |
| 一番の見どころはデブのホモ役になるフィリップ・シーモア・ホフマン! ポルノネタにただただお楽しみだけを求めてつくられたこの駄作は、観ていてちょっと飽き飽きしてくるし、観終わった後はなにも残らないしで、もうこれは、彼のむちむち肌のピチピチTシャツ(それもノースリーブ!)に救いを求めるしかない。というか、彼が画面に現われるところだけがむちゃおもしろい。★★2つ持ってけー!(2003.02.02) | |
| クイルズ QUILLS■2000年■アメリカ■監督フィリップ・カウフマン■脚本・原作ダグ・ライト■撮影ロジェ・ストファーズ■出演ジェフリー・ラッシュ、ケイト・ウィンスレット、ホアキン・フェニックス、マイケル・ケイン |
VIDEO ★★★★ |
| ナポレオン時代のフランス。ナポレオンが短い足をふりふりしているシーンもおかしかったけど、やっぱ神父役のホアキンでしょ。いやんいやんと言いながら女性の高雅な息吹きに惑わされ、サド公爵のエロスの罠にはまっていく。こうなると、聖職につくものが堕落してゆく姿も官能的だ。それにしてもマルキ・ド・サドってすごい人だったんだ。(2003.02.02) | |
| ノスタルジア NOSTALGHIA■1983年■イタリア■監督・脚本アンドレイ・タルコフスキー■撮影ジュゼッペ・ランチ■出演アンドレイ・ゴルチャコフ、オレグ・ヤンコフスキー、ドメニコ・ヨセフセン■カンヌ国際映画祭創造大賞、国際批評家賞、エキュメニック賞受賞 |
CINEMA ★★★ |
| 大画面で久々に観るタルコフスキーは、光あふれるイタリア・トスカーナ地方の豊かな自然と夢のような映像美が交差し、微熱が出そうな美しさだ。あまりの心地よさに、ついうとうとっとしても、相変わらず同じトーンの映像が流れているからタルコフスキーって好きさ。わからなくてもいい映画がここにある。[関連コラムはこちら](2003.02.01) | |